私が八ヶ岳でビールを造る理由。5000年の時を超えた逆説的ストーリー(取材先:エイトピークス)
- ビアクラブ 信州
- 2024年12月6日
- 読了時間: 8分
更新日:2024年12月11日

長野県で一番ビールを語れる人のうちの一人。
エイトピークスの齋藤由馬社長にお話をお伺いしてきました。
齋藤さんを知っている人は、皆が口を揃えて言いますが、お話が本当に面白い!(そして長い!(笑)
一つひとつのお話がロジカルで最終的には、私の推し(筆者は男性ですが)になっちゃいました!😄
そんな齋藤さんの、エイトピークスの紆余曲折の物語をどうぞ最後まで読んでくださいね!
▼エイトピークス HP
🍺目次🍺
蓼科について
お花の価値
切り花の価値がわからなかった
長野県に戻り「ホップ」に出会う。
実は、八ヶ岳エリアはホップの聖地
ホップ単体では売れない。
ドイツ放浪記
滞在中はもちろん!毎日ビールを飲み歩く。
ビールはシチュエーションが大事
八ヶ岳でビールを造る理由。
②地元への貢献。地域の仲間を増やす!
③縄文時代から続く。八ヶ岳山麓のおもてなし
この地でクラフトビールを造ること
エイトピークスを購入できるデリシアの店舗
蓼科について

エイトピークス向かい側にある蓼科湖
2018年12月創業。
今期で7期目を迎えたエイトピークスは、長野県茅野市の蓼科湖の目の前に工場を構えたクラフトビールメーカーです。取材日は、11月20日。周囲は赤や黄色の紅葉の絶景が広がるここ蓼科湖は、観光地としても知られています。
少し標高を上げると、北八ヶ岳ロープウェイがあり、冬はスキーヤーで賑わいます。
(北八ヶ岳ロープウェイ公式HP:https://www.kitayatu.jp/)
齋藤さんは、上田市のご出身で、ご実家は切り花の農家を営んでいるそうですが、そんな齋藤さんがなぜビール事業を、それも蓼科で立ち上げたのか。今日はそんなお話をお聞かせいただきました。
お花の価値
当時は、切り花の価値がわからなかった

ご実家が切り花農家だった齋藤さん。当時は、食べたりすることができない切り花の価値がわからなかったそう。ですが、前職の関係で漢方薬を作っていたことがあり、その際に使われていたものの一つにリンドウがありました。
そのリンドウの根は、「竜胆」と呼ばれ、さまざまな漢方でも活用されています。
花にも飾るだけではない価値があることを知ったということでした。
長野県に戻り「ホップ」に出会う。

前職から、東日本大震災を経て、齋藤さんは長野県内に戻られました。
切り花の市場は、出回る切り花の数は変わらないものの、輸入品が増え、日本での市場規模がどんどん小さくなっている時期だったそうです。特に東南アジアには四季が無くバラやカーネーションなどの切り花が常時出荷され、日本の切り花業界はどんどん縮小していきました。
そんな中出会ったのが「ホップ」でした。
ホップの毬の花と書いて、松ぼっくり状になっており、実はお花の集合体となっているそうです。そのホップを使ったビールは、お花の二次加工品であるということが言えると考えたそうです!
実は、八ヶ岳エリアはホップの聖地

写真は蓼科高原カントリークラブから見る「八ヶ岳」
のちに、齋藤さんが知ったことですが、ここ "八ヶ岳エリア" は、日本で最初にホップが栽培された場所の一つで、キリンビールの契約農家があったということでした。
この地が選ばれた理由は、「寒冷であること」でした。
しかし、栽培面積あたりの収穫量は、平地であればあるほど収穫効率は上がるそうですが、ここ蓼科は山岳地帯でもあり、収穫効率はあまり高くなく、東北や北海道など北緯が高い地域の平野部へと移行していった経緯があったそうです。
ホップ単体では売れない。

ホップは、ビールになって初めて価値が生まれると話してくださった齋藤さん。
最初はホップを買ってもらいたいと、いろいろなビールメーカーさんに持っていこうと思ったということですが、このまま持っていっても有象無象あるホップの一つ。
であれば、自分でビールを造ってしまえばいいんじゃないか。
ここから齋藤さんのビール造りが始まりました!
ドイツ放浪記

ビールの様子を見る齋藤さん
自分でビールを造ろうと決意し、すぐに行動を開始!
まずは、ビール文化を体験し、ビールへの理解を深めようと南ドイツのバイエルン州に旅立ちました。
ドイツには、1つの自治体に1つ以上の醸造所があります。
ドイツ語の話せない齋藤さんは、身振り手振り、乗り込んでは醸造所を見せてもらったそうです。凄いですよね~!
そうやって、いろいろな醸造所で「この機械でこの工程をやっているんだな」と一つ一つ咀嚼しながら自分のものにしていったそうです。
え、そもそも私には、一人で知らないところに乗り込んで、いきない醸造所の見学させてください~なんて言えない!本当にここに齋藤さんの切り開いていく力を象徴していますね!
滞在中はもちろん!毎日ビールを飲み歩く。

齋藤さんから頂戴したドイツ放浪した際のビール
もちろん、施設見学だけでなく、毎日各地のビールを飲み歩いた齋藤さん。
その中でも一番印象に残っているエピソードを話してくれました。
あるビアレストランに今日も1杯飲もうと、椅子に座り、メニューを覗いていました。
隣に座っているドイツ人の方に、
「ここのおすすめビールは何ですか?」と聞いたそうです。
「何を言ってんだ兄ちゃん。
この町で、一番うまいビールはこの町で造ったビールに決まっているだろう!」
と返されたそうです。
「そりゃそうだな」と思い同じものを注文しました。
注文したビールは、バイエルン州で良く造られている「へレス」というビールでしたが、飲んだ瞬間に「はっと」するほどおいしかったんだそうです。
炭酸も強すぎず、すいすい飲めるようなビールだったそうです。
ビールはシチュエーションが大事

帰りの電車の時間が近づき、おいしかったので、同じビールをボトルで購入してホテルへ。
そのビールをホテルの窓際で飲んだ時に感じたのが、中身は全く同じなので味わいは同じなんだけど、あのお店で飲んだ時ほどの感動はなかったとのことでした。
ビールを飲む場所・空気
ビールを一緒に飲む人
ビールを飲むタイミング
いろいろな要素があると思いますが、
エイトピークスは、「八ヶ岳山麓から地域に根ざしたクラフトビールブランド」
です。そんなエイトピークスの根幹とも呼べる価値を象徴するエピソードだなと非常に感銘を受けました。
八ヶ岳でビールを造る理由。
ホップの生産に適した場所であること
地元への貢献。地域の仲間を増やす!
縄文時代から続く。八ヶ岳山麓のおもてなし
一つ目は、前述しておりますが、八ヶ岳エリアがホップの生産に適しているということ。
あと二つについては、非常にロングストーリーで語っていただきました!
地元への貢献。地域の仲間を増やす!

みなさんは、一人あたり地域で消費する金額がどのぐらいか知っていますか?
実は、年間平均130万円ほどその居住地域で消費をしているそうです。
100人減ることで約1億3000万円の消費が減るということなんですね。
長野県でも2023年の減少は1.5万人ぐらい減っているわけですから、地域内の消費額も自ずと減っているということがわかりますね。
▼参考
地域内への移住者を増やすことによって、その地域の活性化がされることはすぐに理解できることだと思います。移住者を増やすためにはまずは、地域内に来てもらい、すなわち観光できてもらい、魅力を感じてもらうことが大事だと言えますよね!
観光の際に活躍するのは・・・?
そう!クラフトビールは今や、観光にはなくてはならない要素になっていますね!
③縄文時代から続く。八ヶ岳山麓のおもてなし

縄文時代の八ヶ岳エリアは、標高も高く、閉鎖的なコミュニティだったと言われています。
閉鎖的なコミュニティの中で生まれてくる子供たちは、近親による交配により免疫力が低く、新型コロナウイルスのような疫病が流行するとたちまちみんなが疫病にかかり、絶滅の危機に陥っていました。
そんな時、縄文時代にも旅人はいました。そんな旅人をどうにか、そのコミュニティに引き込もうとおもてなしをしたわけですね~!
おもてなしに使われたのは、これもまたお酒だったんですね。
そうやって、新たな血を迎え入れ、免疫力を高めることが、生命をつなぐ大事な役割となっていたんですね。
この地でクラフトビールを造ること

それは、縄文時代から続く八ヶ岳の魂というかそんなものを後世に繋げていく活動なんだと感じました。その形が、クラフトビールという形で皆様に提供されており、それが観光素材の一つとなり、地域に愛されて、それに魅せられた人々が移り住み、新たな命へとつながっていくことが地域への貢献なんだなと、感激いたしました。
歴史から紐解く。
エイトピークスの飛躍はまだまだこれから。
ぜひおいしいビールを八ヶ岳に飲みに行ってみてくださいね!
エイトピークスを購入できるデリシアの店舗
デリシア 宮川店
飲んだら感想をお願いします!
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